《竹林伐採と開発により借景の中に現代建築が割り込み興醒めになりそう》
◆岩倉からの道中は複雑でどうにも良寺があるようには思えずひたすら曲がりくねった道を進んで行くと復員は小さいが手入れしてある感じの参道にさしかかる。
門前に立つと美しい苔と蝋梅などの植木、飛び石はかなりの巨石を打ってあり納まりの良いアプローチ。
ちょっと趣向のある東司(婦人用のペーパーホルダーが真骨頂)を横目に見て廊下を進むと問題の借景庭園が眼前に広がる。
ぼくは比叡山をこれほどダイレクトに取り込んだ庭園にお目にかかったことがない。
唯一似た感じがあるのは真如堂の庭園ぐらいか。
目の前の庭園だけで400坪もあるというから立派なものだ。
空気が澄んで見通しの良いのも手伝って山裾のひなびた寺と思っていたがなかなかの貫禄だった。
★借景庭園で名高い円通寺は、後水尾天皇が営んだ幡枝(はたえだ)の御所跡に建つ、臨済宗の禅寺。
延宝6年(1678)、文英尼を開基として創建された。
客殿の東面にある庭は、苔と石、刈り込みが配された端正な風情で、深い奥行きを感じさせる。
生垣の向こうに竹林があり、はるかに比叡山の稜線が見える。
後水尾天皇がながめた庭の美しさをいまに伝える名勝庭園である。
●大悲山/臨済宗妙心寺派
※借景庭園(霊宝比叡山)